環境にやさしい再生エネルギーグループ視察報告書

日 時
平成26年3月26日(水)〜3月27日(木)
視察先
滋賀県 東近江市(東近江市役所、ひがしおうみ市民共同発電所3号機)
岐阜県 郡上市(石徹白地区における小水力発電施設)
視察議員
田形清信、浅場 武、牧田博之 丹沢卓久、早川清文、畑田 響

目 的

会派内政策グループ「環境にやさしい再生エネルギー」において、
太陽光発電、風力発電、小水力発電等再生エネルギーを地産地消に近づけ、
環境面だけではなく、防災面や地域振興等にも資することから、
今後の静岡市において重要な政策として当局に提案をしていくため、
市民共同発電を積極的に行っている東近江市と山間地で小水力発電を行っている郡上市に視察を行うもの。

内 容

【東近江市】

東近江市は、平成17年に八日市市を中心に1市4町が合併し、翌年さらに2町と合併し、人口11万余。

57%が森林で23%が水田などの農地。人口や面積ともに日本全体の1000分の1ということで縮図と考えている。

平成21年に東近江市SUN讃プロジェクトが商工会議所を中心にスタート。エネルギーや食料の地産地消、創・省エネビジネスを通じた地域振興などが目的。同年に資源エネルギー庁から近畿地方で第2号の次世代エネルギーパークに認定。

平成15年に農産物直売所に第1号(容量5.99kW 費用525万円)を、平成22年にFM局に第2号(容量4.39kW 290万円)を、平成25年3月に県平和祈念館に第3号(容量34.8kW 1250万円)を市民からの出資により建設してきた。さらに平成25年には、福祉支援型農家レストランや隣接の高齢者施設のモールでの共同発電所(容量34.8kW)を、また特別養護老人ホームや自治会公民館にも設置。

特筆すべきは、ひがしおうみ市民共同発電所での売電による償還を三方よし商品券で行っているところ。(それぞれ1号機は4500円、2号機は8000円、3号機は2%)三方よし商品券は市内の店舗400店で使え、商工会議所が発行。課題としては市民に浸透していないことと小さい店舗で使用できないこと。平成25年度の発行見込みは3500万円で、利用者数は5000人。地域内循環型と呼べるには、この三方よし商品券による使用を1億円程度にしなければと考えている。また、エネルギー使用量全体における再生可能エネルギーの割合も、おそらく1%程度と見込まれ、今後の発展がまだまだ課題としている。

もう1つは、公共施設の屋根面等の貸出ガイドラインを策定し、共同発電所を想定してであったが、まだ市民共同発電所第3号機での活用の1件のみ。市内の地域団体、NPO法人、特別認可法人を対象としており、売電益を市・発電施設への寄付、市内での地域活動、三方よし商品券で還元する場合と規定している。

現在は、担当部署は産業振興部にあるが、4月の組織改編で環境部に変わるとのこと。


【郡上市】

郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)地区は、人口276名で50年間で4分の1に減少してしまった。2003年にNPO法人やすらぎの里いとしろを設立し、キャンプ場の運営等を行ってきた。スキー場があり、農業も主たる産業。岐阜県でも屈指の豪雪地帯。視察した3月下旬には、今年は例年の半分程度であったとのことだが、道路沿いには残雪がみられた。

現在、地区内にある石徹白小学校には12名の児童がいるが、2013年度は新入生無く、地域づくりのスローガンを30年後も小学校を残そうというスローガンを掲げている。2009年にビジョンを策定し、NPOが小水力発電や自然歴史ガイドを、地域づくり協議会では特産品加工や定住促進を、また公式HPも制作してある。2007年に3機を実験的に導入し、2009年度に新型らせん水車を導入し、事務所の照明と外灯に利用している(200万円)。2010年度に上掛水車を設置し、農産物加工所の電気の一部をまかなう(科学技術振興機構研究プロジェクト)。

現在、九頭竜川沿いの空き地を利用し、農業用水から取水する86kWの高効率小水力発電を建設する予定。県が55%、市が20%で残りの25%(6000万円)を地域で負担。8年間でペイ完了予定。

当初は小水力発電に対して地域では理解が無かったが、続けることにより、今では無ければならない存在となった。4世帯が増加したり、視察にも昨年1000人が来た。太陽光発電に比べて、24時間ずっと発電が可能で、発電能力も水力のほうが6倍とも言われている。

歴史にしがみついていてはいけない。何とかして、この地域を立て直さないと、という危機感からスタートしている。


◆成果・市政への反映等

静岡市においても、2012年から、市立日本平動物園、番町市民活動センター、IAI日本平スタジアムの屋根等を利用して、NPO法人アースライフネットワーク、鈴与商事(株)が出資し、しずおか未来エネルギー(株)を設立し、共同発電を行っている。

また、市内梅ヶ島地区で小水力発電を復活させる事業が、現在、資源エネルギー庁の調査事業で進められている。

東近江市で行われている売電による償還を地域経済に循環させる方法は、同様に静岡市でも実施可能か検討が必要だと考える。

公共施設に屋根貸しは、浜松市や県内自治体でも広がっており、静岡市でも、さらに太陽光発電が促進されるように積極的にインセンティブを導入していく必要がある。

地震等非常時に活用できることや発電の有効利用を促進できる「蓄電」についても、技術開発、利用促進策を図っていかなければならないと思われる。

また、再生可能エネルギーには、この度視察した太陽光発電、小水力発電だけでなく、浜松市の最近本格導入が報道されているバイオマスや地熱発電、風力等の実施可能性やエネルギーの地産地消の促進を今後加速化させていかなければならない。

(文責 畑田 響)

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